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【飲食店のAI活用術】僅差が大差!一手間かけて「成り行き発注」を品質本位の「攻めの発注」に転換

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この記事を読んでほしい人

  • 複数店舗を経営する飲食店オーナー
  • 発注業務を部下に任せたい店長
  • 発注業務での自分の経験を「言葉」にして店舗スタッフと共有したい運営責任者

1.この記事を書くことになった背景

ある夏の暑い日
飲食店を経営している知人と
その方が経営するお店で食事する事に

そのお店がお肉料理を中心とした業態で
会話も弾み、メインのお肉をある程度堪能したところで、箸休めにキュウリを注文。

何度も伺ったことのあるお店
このお店では毎度おなじみのキュウリ

いつもなら…
「綺麗にカットされたキュウリを特製味噌につけて食べると、シャキッとした歯ごたえと瑞々しさ、甘辛い味噌との相性も良く、最高の箸休め!」

ところが…
この日は、パサパサでゴワゴワ

話しの流れから、その場でキュウリの話しにはなりませんでしたが、当日の会話の内容から…

推察
推察

「独立起業後に現場で陣頭指揮をとりながら本店を軌道に乗せて、近年では複数店舗を出店するほどに成長し、次は新業態開発も視野に入れている」という話。
本店を信頼する店長に任せていて、新店準備等もあり本店にあまり顔をだせていないとのこと。
これらの話しから「発注と在庫管理の仕組みを定期的に“メンテナンス”できていないのかも!?」と勝手に推察。

2.いろいろな発注方法

食材の発注業務は、食材のコンディションを最適な状態に保つための重要な仕事。いくつかの発注法があるのでご紹介します。

①固定発注量法在庫が一定の発注点に達すると指定した固定量を発注する方法
②固定周期発注法定期的な感覚で在庫を確認し、所定の量まで発注する方法
③差分発注法過去の発注データや消費量に基づいて次回の発注量を計算する方法
④経験的発注法特に不規則な需要がある場合や新しい商品を取り扱う場合などに用いられ、経験や感覚に基づいて発注量を決める方法
⑤予測ベースの発注法過去のデータや市場のトレンド、季節性などの要因を考慮して、将来の需要を予測して、それに基づいて発注する方法
⑥ABC分析を活用した発注法商品を価値や重要度に応じてA、B、Cの3つのカテゴリに分類し、それぞれのカテゴリに合わせて発注を工夫する方法
⑦最適発注量法在庫保有コストと発注コストを最小化するための発注量を計算し、特定の数式を使用して、コストを最小化する発注量を求める方法

1)結果的には「成り行き発注」

チェーン店ではない個人オーナーの飲食店では
「③差分発注法をベースに④経験的発注法で微調整」というのが一般的に多いような気がします。

ただここで注意が必要!
③差分発注法は「過去の発注データや消費量に基づき」という点がポイント。
このベースとなる「過去のデータ」を定期的にメンテナンスしてないと本来の効果が発揮されない。

結果的に③と④の組み合わせのつもりが、「①固定発注量法をベースに④経験的発注法で微調整」という状況に。

発注の目的が「売り切れを無くす」事になり、発注業務も「ただの作業」となっています。

2)品質本位で「攻めの発注」

では冒頭のお店はどのような発注方法を採用すべきだったのでしょうか??
色々な方法が考えられますが、一番シンプルですぐにでも改善できる方法として以下の事を提案できると思います。

現状:メンテナンスされていない過去のデータを元にした③差分発注法をベースに、経験や感覚に基づく④経験的発注法で微調整する。

改善:過去のデータを定期的にメンテナンスしながら③差分発注法をベースにするが、⑥ABC分析の考え方で仕入食材にも優先順位をつけ、重要な食材は⑤予測ベースで「攻めの発注」を試みる。

全ての食材の発注に精度の高い工夫をする必要はなく、少し優先順位を付けながら大切な食材の発注に関しては精度の角度を少し上げるようなイメージ。

精度を上げた発注でお客さんが驚くぐらいの鮮度で食材を提供できれば「攻めの発注」。

3)発注に気を遣う食材選定の一例

どの食材、どの商品を
お店におって重要度が高いA商品とするかは
オーナーの経営哲学というか価値観の問題。

よって今回の「キュウリ問題」についても重要度の判断は人によって大きな差があると思います。

参考までに、なぜ私はこのお店における「キュウリ」をABC分析のA商品だと捉え“押す”のかを以下の通りまとめておきます。

  • 希少性:このお店の商品群で一部葉物を除けば唯一の生野菜、しかも「シャキシャキ」と「瑞々しさ」というテクスチャーを兼ね揃え、箸休めとして存在感を放つ商品。
  • 収益性:粗利率が高く、調理工程におけるロスも少なく、追加オーダーの取りやすさから単価アップへの高い貢献度を期待できる商品。
  • 利便性:仕込みにかかる時間の短さ、在庫管理の容易さ、仕込み風景のパフォーマンス効果などの手軽さも兼ね揃えた商品。

3.「過去のデータ」を簡単作成

Excel初心者でもChatGPTを使えば自分が欲しい表やグラフが簡単!

POSレジや食券機、AirPAYのような決済システムから販売実績データを抜き取りエクセルで開く。

最終的には曜日ごと「キュウリ」の平均出数を調べたいので「来店日」にある日付データを元に曜日を自動で表示させる。

AとBの間に列を挿入し「曜日」の列を作る。

中央の黒塗りでコードが表示されている右上「Copy code」をクリック。

B2のセルにコピーしたコードを貼り付け。

あとはコピーするだけ。

検索した商品名、検索したい曜日をF1とF2のセルにそれぞれ入力して、F3に検索条件に合う注文数量の合計を表示させるための関数をChatGPTに投げかける

その関数コピーしてF3に貼り付ける。

これを繰り返し、少し表をアレンジすると以下の通り完成!

店舗の発注が適切に行われているかどうかは、この表に発注データを照らし合わせればOK。

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